EMF211(100-2L-CB)型
ガンマ線スペクトロメータ
放射能濃度測定システム

100-2L-CB上部

本器は世界で初めて3インチCeBr3シンチレータを採用した最新型です。

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特長

3インチCeBr3(セリウムブロマイド)検出器を採用

本器は世界で初めて3インチCeBr3シンチレータを採用した最新型で、1時間測定で0.35Bg/kgの測定下限(Cs-137単核種・3σの検出限界)を達成しました。
(上記の性能は2Lマリネリ容器に水を入れて測定した場合のCs-137単核種の値です。また、空間線量率0.08μSv/hの室内で16時間バックグラウンド測定を行なった場合の値で、空間線量率が高い場所や 試料にK-40が含まれている場合にはこれより大きな値になります。)

3インチCeBr3シンチレータは3インチNaI(Tl)シンチレータと比べ、Cs-137の662keVのγ線におけるエネルギー分解能が1.5倍の約4%に、計数効率が約1.4倍にそれぞれ高性能になりました。
これまでのCeBr3には放射能測定器で重要な検出器自体のセルフドーズ(自己放射能)の問題がありましたが、最新製品ではローバックグラウンド3インチNaI(Tl)と同レベルまで改善され問題が無くなりました。

放射能検出器としての性能(検出限界および不確かさ)は相対効率40%のGe半導体検出器を上回るレベルであることが確認されています。(国立研究開発法人産業技術総合研究所および国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所との共同研究【2014年5月23日~2015年9月30日】)

なお、本器は厚生労働省が2012年4月から施行した「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」に適合しており、当社が国内へ460台以上納入したEMF211(50-1L)型の上位機種として開発されました。

この他EMF211(100-2L-CB)型では特に以下を実施しました。

  • 厚さ100mmの鉛板に厚さ6mmの真鍮板を内張りした高性能ガンマ線遮蔽装置を採用。
  • 遮蔽装置の試料用空間にはGe検出器用2Lマリネリ容器が入る大きなスペースを確保。
  • 水漏れのない一体成形のポリプロピレン製1Lマリネリ容器と500mLマリネリ容器を開発。

高性能なガンマ線遮蔽装置

高性能ガンマ線遮蔽装置

遮蔽装置は厚さ100mmの鉛板+内側に厚さ6~10mmの真鍮板を配置しCsのバックグラウンドネットレートを鉛厚さ50mmの場合の1/2~1/3に低減しています。
その効果でCsの測定下限(検出限界)が50mmの場合と比べ30~40%低減されました。
試料用空間は幅・奥行188mm×高さ244mm、検出器上方には150mmの空間があり、Ge検出器用2Lマリネリ容器も使用可能です。
キャスターが8個付いて床への圧力を軽減しています。
大きさは幅65cm×奥行65cm×高さ76cmで質量は1000kg



  • EMF211(50-1L)型のガンマ線遮蔽装置(左)と、本器EMF211(100-2L-CB)型のガンマ線遮蔽装置(右)を撮影した写真です。大きさの違いがお分かりいただけると思います。

    50-1Lと100-2L比較1  50-1Lと100-2L比較2

自動温度補償機能を装備

分解能0.1℃の温度センサーを検出器に内臓させ、その温度を基準にアンプゲインを自動制御する方式でガンマ線測定エネルギーの変動を0℃~40℃の範囲で±0.5%以内に収めました。
この機能を実現するため検出器を恒温槽に入れて温度特性を取得し、さらに1年ごとの校正時にも再取得し経年変化に対応しています。

使える容器や充填量の種類が豊富(最大11種類)

容器イメージ

左上から右へ2Lマリネリ容器・1Lマリネリ容器・500mLマリネリ容器、左下から右へ900mLポリ容器・350mLポリ容器・U8型容器です。
1Lマリネリ容器と500mLマリネリ容器と900mLポリ容器の3種は本体がポリプロピレン製、蓋がポリエチレン製の密閉式で水漏れしません。
500mLマリネリ容器は試料をビニル袋に入れたままセットしやすく、350mLの充填量も選べます。1Lマリネリ容器は1Lの他500mLと1.5Lの充填量が選べ、500mLでは単位容積当たり計数効率が最高となります。(U8型容器の校正はオプションです)

使いやすい日本語ソフト

本器にはあらかじめ1分間~24時間に設定した測定時間が終了後、自動的に測定データを記録する「和文放射能濃度測定ソフトVer4」を付属しています。同時に定量できる核種はI-131, Cs-137, Cs-134, K-40の4種です。
校正済みの核種はCs-137とCs-134で、I-131とK-40の測定値は参考値です。バックグラウンド減算、試料の質量や密度による換算係数の自動補正などの機能を備え、測定日時と基準日時の差を半減期で自動的に補正する機能も備えています。 「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」で25Bq/kg以下と定められた「測定下限」が予定した測定条件で達成可能かどうかを測定開始前に推定できます。
また、自動連続繰り返し測定機能により、50Bq/kg以上と定められているスクリーニングレベルの確認も容易に行えます。
放射能濃度表示のすぐ下には不確かさ(±Bq/kg)を表示しますので、測定値にどの程度の不確かさが含まれているかもわかります。これらの基本的なデータ処理は文部科学省マニュアルに沿った形で行っています。

エネルギー校正用線源を付属し、Cs-137密封線源をオプションで用意

本器にはエネルギー校正用線源として1Lマリネリ容器入りの「塩化カリウム」が付属し、K-40の1461keVガンマ線を利用してエネルギー校正を行います。
また、エネルギー目盛の直線性調整用として350mLポリ容器入りの「超低濃度天然ウラン線源」も付属しています。更に検出器の感度を定期的に確認するための線源として、350mLポリ容器入りの「Cs-137密封線源」をオプションで用意しています。
どの線源も法令で許された上限より低い強度で安心です。

測定性能

1時間測定における測定下限(検出限界)(3σ)  ※4時間測定で約1/2に低減されます。

容器タイプ I-131 Cs-137 Cs-134 K-40
2Lマリネリ容器(2L充填) 約0.5Bq/kg 0.35Bq/kg 0.35Bq/kg 約3.4Bq/kg
1Lマリネリ容器(1L充填) 約0.8Bq/kg 0.5Bq/kg 0.5Bq/kg 約4.9Bq/kg
1Lマリネリ容器(500mL充填) 約1.2Bq/kg 0.8Bq/kg 0.8Bq/kg 約8Bq/kg
500mLマリネリ容器(500mL充填) 約1.8Bq/kg 1.2Bq/kg 1.2Bq/kg 約12Bq/kg
500mLマリネリ容器(350mL充填) 約2.2Bq/kg 1.5Bq/kg 1.5Bq/kg 約15Bq/kg
900mLポリ容器 約2.0Bq/kg 1.4Bq/kg 1.4Bq/kg 約13Bq/kg
350mLポリ容器 約4.2Bq/kg 2.9Bq/kg 2.9Bq/kg 約28Bq/kg
U8容器(90mL充填) 約12Bq/kg 8Bq/kg 8Bq/kg 約78Bq/kg
測定上限 1,000,000Bq/kg (Cs-137を350mLポリ容器で測定した場合)
測定確度 日本アイソトープ協会製標準体積線源基準値に対して±10%以内
(Cs-137およびCs-134について)
ガンマ線
エネルギー分解能
Cs-137の662keVにおいて4±0.2%(FWHM)
ガンマ線
測定エネルギー範囲
0.03~2MeV
  • 2012年4月1日施行の「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」では放射能濃度測定器の性能として25Bq/kg以下の「測定下限」が求められ、Cs-137とCs-134を分離して測定する場合、Cs-137とCs-134を単純合計した値と決められています。
  • 上記の「測定下限」は試料に水を用いた場合の数値でそれより低い密度(1g/cm3未満)の場合は密度に反比例して増加します。
  • 上記の「測定下限」は当社で16時間バックグラウンド測定を行い、バックグラウンドのネットレート(cps)と容器や充填量ごとの換算係数(Bq/kg/cps)の実測値を基に厚生労働省が示した計算式(3σ)によって求めた値で代表値です。 ただし、1Lマリネリ容器の500mL充填の換算係数は1L充填の標準体積線源を用いて実測した校正値との相対比率で設定されます。
  • 上記の「測定下限」は測定時間を長くすると低減されます。2時間測定で約27%、4時間測定で約47%低減されます。(16時間バックグラウンド測定を行った場合)
  • バックグラウンド測定時間は16時間以上を推奨します。
  • γ線バックグラウンドレベルが0.08μSv/h以上の場合や試料にK-40が含まれる場合には上記より悪化する場合があります。
    純水に塩化カリウムを溶かして100Bq/kgのK-40放射能濃度溶液を作成し実測した結果、Cs-137測定下限値は上記の約2倍に増加することが確認されています。
  • 雨水や井戸水などの採取直後はウラン系列のPb-214やBi-214が含まれますので12時間以上経過してから測定して下さい。
  • ウラン系列やトリウム系列の放射性核種が高い濃度で含まれる場合にはプラスの誤差を生じることがあります。
  • Cs-134の濃度が高い場合、K-40測定値にプラスの誤差を生じる場合があります。(I-131とK-40の測定値は参考値です。)
  • 穀物や海藻類は500Bq/kg以上の高い濃度でK-40を含む場合があり、コンプトン散乱によるベースライン上昇が起こりますが本器には正しいベースラインを自動的に認識する機能が備わっており、誤差を最小限に抑えることが出来ます。
  • 製品出荷時に5種類の容器毎に日本アイソトープ協会製のCs-137とCs-134の標準体積線源を用い正確な校正を行っております。その結果を基に「メンテナンス」画面に換算係数(Bq/kg/cps)が設定されています。
  • 校正は1年間有効で2年目には再校正が必要です。再校正は有料で現地で毎年1回行わせて頂きます。費用については当社までお問い合わせください。
  • 当社では本器で用いられる容器で校正されたGe検出器(662keVに於ける相対効率28%、エネルギー分解能1.33keV)を社内に設置し、産業技術総合研究所が開発した認証標準物質(玄米)をはじめ、色々な種類の検体をGe検出器と本器で比較測定し、Ge検出器に近い値が得られるよう性能改善に努めています。

製品構成

<システム一式>
  • ガンマ線スペクトロメータ本体 1台
    (3×3インチCeBr3検出器・光電子増倍管・DPP・MCA一体型)
  • ガンマ線遮蔽装置(100-2L-CB型) 1台
  • データ処理装置(15インチ液晶ノート型PC) 1台
  • 和文放射能濃度測定用ソフト(Ver4) 1式
  • 350mLポリ容器 1箱(60個入り)
  • 900mLポリ容器 5個
  • 500mLマリネリ容器 8個
  • 1Lマリネリ容器 8個
  • 2Lマリネリ容器 2個
  • 1Lマリネリ容器入り塩化カリウム 1個
  • 350mLポリ容器入り超低濃度天然ウラン 1個
  • 取扱説明書
  • 校正証明書
<オプション>
  • プリンタ(モノクロ・レーザー式)  1台
  • 電子天秤(デジタル表示式)  1台
  • 温湿度計(デジタル表示式)  1台
  • 350mLポリ容器入りCs-137密封線源  1個
  • 線源用キャリングケース  1台
    (鉛の厚さは5mmで外側はアルミ製・質量10kg・幅325×奥行145×高さ180mm)
    線源用キャリングケース  線源用キャリングケース
  • 350mLポリ容器  1箱:60個入り(税別6,200円) ※2021年1月18日価格変更
  • 900mLポリ容器  1箱:10個入り(税別7,000円) ※2021年1月18日価格変更
  • 500mLマリネリ容器  1箱:12個入り(税別24,000円)
  • 500mLマリネリ容器  1箱:24個入り(税別48,000円)
  • 1Lマリネリ容器  1箱:12個入り(税別36,000円)
  • 500mLマリネリ容器入り塩化カリウム  1個(税別4,000円)
  • 1Lマリネリ容器入り塩化カリウム  1個(税別5,000円)
  • U8型容器の校正追加費用  お問い合わせ下さい
お問い合わせ TEL:078-331-8584 FAX:078-331-8585